風に強いハウスとは・林さんちの育苗ハウスは風に強い

風に強いハウスとは?

雪で倒壊したハウス、、こうならないためには
倒壊したハウス


 農業をする場合、よく使われるのが農業用ハウスです。野菜、花、稲作にしても欠かせない施設ですね。最近は、新規就農者も方も多くなって来ましたがノウハウの無いまま建設してしまい最近の爆弾低気圧や季節外れの大雪で潰れたりとトラブルに見舞われている様子を見ます。林さんちもご他聞に漏れず数々の悲惨な目に遭って来ました。そこで「飛ばないハウス」「風に強いハウス」と言ったノウハウを今回一挙公開です。


 林さんちの育苗ハウスは、これまで何度も春の嵐や爆弾低気圧に耐えて来ました。そのわけは、いろいろな工夫をして来たからです。かつては一般的なハウスの建て方でした。まずは、基礎の部分ですが田んぼの中に長さ50センチほどの金属ネジネジを0.5~1mおき程度にねじ込んで行きます。このネジネジの頭にハウスパイプを通して基礎とします。

田んぼにネジネジをねじ込んだ一般的な基礎です。
ハウスの一般的な基礎

何度も飛ばされたハウスの悲しい歴史があります。


 この基礎は、田んぼにハウスパイプだけを挿したタイプよりずいぶん強度があります。それでも林さんちは、何度も春の嵐で田んぼからネジネジが抜けてしまいました。それほど風のパワーは、凄いのです。私が、子供の頃のことですが強風が吹く度に家族総出で抑えに行きました。しかしどれだけ抑えてもハウスが持ち上げることを防ぐことは出来ません。メリメリと持ち上がって行く様は、本当に無力感を感じる瞬間でした。そうなると今度は、せっかく苦労して張ったビニルを鎌で切ってしまいます。そうなると中にある苗も無事では、済まないので本当に悲惨でした。そんな悲惨な農業を誰が継ごうと思うのでしょうか?


 林さんちのハウスの基礎はコンクリートです。


 そこで30年ほど前にハウスを建て替える際に、ネジネジを止めてハウスパイプをコンクリートの基礎で固める方法にしました。当然、お金もかかる話ですが何度も悲惨なことを繰り返していたので絶対に飛ばないハウスを目指しました。そして基礎には、ハウスバンドを留めるU字環も設置しておきます。このU字環も強度を上げる重要なアイテムです。

ハウスをコンクリート基礎にしました、、ハウスバンド用のU字環も設置。
林さんちのハウスの基礎


 ハウスの被覆素材の進歩が素晴らしいです。

 
 林さんちのハウスの被覆材は、ポリフィルムです。かつては、塩化ビニルでした。ところが塩化ビニルは、保温力が高いのですが数々の問題がありました。まずは、燃やすと有害な塩化ガスが出ること。そして気温が上がると伸びる性質があって春の嵐特有の生温かい風で伸びて膨らんだ挙句に破れてしまいます。そして一度破れるとピィ~~っと裂けてしまうのです。ところが20年ほど前からポリフィルム素材の被覆材が出回り始めました。ポリフィルムは、若干透明度が悪いので保温能力では、わずかに塩化ビニルより負けます。しかし重量が15%ほど軽くて価格も10~20%ほど安いのです。軽いとハウス張り作業が格段に楽になります。そして一番の利点は、丈夫だということ。穴が空いてもそこから裂けるということはありません。そして温度上昇による伸び縮みも少ないので強風によって膨らむ度合いが少なくて済みます。丈夫で塩化ビニルより何年も使えてさらに価格が安く燃やしても塩素ガスも出ない一石二鳥どころか二石三鳥以上の素晴らしい素材です。さらに最近は、改良が進み保温能力でも塩化ビニルに比べて差が無くなって来ました。


 風で飛ばないハウスの張り方。


 まずは、いかに無風の時に素早くハウスを張るかにかかっています。林さんちでは、秘密兵器ラクハリくん2015年版(動画) 「ハウスを楽に張るにはラクハリくんが便利です。2016」動画 を使用しています。20年ほど前は、長いハウスの横から少しづつ反対側へ引き揚げたり、前から引っ張って被せて行きました。横から引き揚げる方法は、横風があるとはらんでしまい飛んで行きそうになるので大変でした。そして前から被せるとハウスの角で被覆材が痛んだり破れたりしました。さらに抵抗も多くて引っ張るのが本当に重労働でした。それがましてや重い塩化ビニルだとなおさら大変でした。でもこの「ラクハリくん」を知り合いに教えてもらい「だまされたと思って」購入したところそのふざけたネーミングとは違い性能抜群です。林さんちのハウス張りには、無くてはならないアイテムになりました。


さあ~~風の無いうちにハウスを載せるぞ!!
ラクハリくん

アルミ製の「ソリ」とテッペンに赤い「コロ」でスムーズに載せて行きます。
ラクハリくん

 とにかく素早くハウスの被覆材を載せたらなんと言ってもビニペット(動画)が重要です。このハウスの被覆を留めるアイテムは、強力です。ハウスのパイプに3センチ幅のレールを設置します。林さんちでは、天井に1本とサイドに2本設置して前と後ろのツマ部分には、かなり細かく設置しています。昔のハウスの被覆を留める方法と言えば通称「パッカー」と呼ばれるプラスチック製のアイテムしかありませんでした。今では、これに丸スプリングが付いて強化されたとは言え強風が吹くと見事に外れて飛んでいきます。


これが「パッカー」、、ハウスパイプに被覆材を留める代表的なアイテムです。
パッカー

 そこで次に出たアイテムがビニペット2015年(動画) 「風に強いハウスの最強アイテム「ビニペット」です。2016」動画 です。これは一度留めると被覆材が破れない限り外れません。とにかくハウスを張る時もこのビニペットで留めるまでが勝負です。それまでに風が吹いて何度かせっかく上に載せたビニルやポリが飛んでいってやり直したりひどい時は、破れて千切れたりしました。ただしこの留めるスプリングが絡まって作業する時に、ほどくのに時間がかかるのが難です。その面倒な作業を差し引いてもこの性能は特筆モノです。


ビニペット、、クネクネしたスプリングをレールに入れて行きます。
ビニペット


 ハウスバンドを一気に反対側に移動する方法です。


 ビニペットを留めたら次に行うのがハウスバンド留めです。林さんちは、45センチおきにコンクリート基礎にハウスバンドが留められています。このバンドを3本づつ絡まないように巻いてからロープに仮結びしてハウスバンドを一気に反対側に移動・2015年版(動画) 「ハウスバンドを簡単に上げる方法です。2016」動画します。こうするとハウス張りの際にバンド留めでモタモタしているうちに風が吹いてきて飛ばされることもありません。昔も今も多くの農業者は、ハウスバンドを反対側に渡すためにペットボトルやポリ袋に砂を入れたり農機具のベルトを丸めたモノに縛って反対側に1本1本投げています。ちなみに林さんちでは、サンダルを投げていました。今でもたまに切れたバンドの修理等で投げていますがなぜか盛り上がります。


見事にハウスバンドを全部反対側に持って来ました。
ハウスバンド


 これを「ハウスバンド留め具」(動画)で留めて行きます。昔は、縛っていましたが特殊な縛り方で経験の浅いバイトさんが縛るとどれもユルユルです。しかも作業時間もかかるので大変でした。これなら簡単だし絶対に外れません。このハウスバンドがコンクリート基礎で固定されると言う点も重要なポイントです。通常の田んぼに挿したハウスバンドの固定具やハウスパイプに固定されたモノでは、最近の爆弾低気圧では、すぐに飛んでしまいます。


ハウスバンド留め具、、誰が縛っても強力に留めれます

ハウスバンド

完成したハウス、、以前に比べ作業時間も半分で出来るようになりました(o^-^o)

ハウス張り完了


 強くなったとは言え油断禁物です。


数々の修羅場をくぐり抜けて来た林さんちの育苗ハウスですが油断による倒壊も経験しています。忘れもしない2001年1月20日に降った大雪で一晩でハウスが潰れました。その日の前々日から私は、大阪へ出張に行っていましたがまさかこんなに降るとは、思いもしませんでした。林さんちのハウスは、毎年被覆材を外して片付けるのですがこのハウスは、資材庫代わりに年中張ったままにしてあります。ところが重く湿った雪が古くなって滑りが悪くなった被覆材の上に載ったままに積もっていきついに耐えれなくなって潰れたのです。帰って来て潰れたハウスを見て茫然自失でした。


グシャリと潰れたハウス、、めまいがしました

雪で倒壊したハウス


 でも中の資材もレスキューしないといけないし、そのままに放っておくわけにもいかず気を取り直して修理方法を考えました。潰れたハウスをよ~く見るとハウスの下1m以下は、曲がらずに無事のようです。そこで基礎とその1mの無事なパイプを残し上を切断。壊れた部分のハウスパイプをワンサイズ直径が小さいパイプを接木代わりに挿し込んで繋ぎました。つなぎ目は、水の浸入で錆びないようにコーキングしました。最初は、大変かと思いましたがこの方法は効を奏してすぐに修復出来ました。


無事なパイプに新品パイプを繋いで行きました、、昔なので写真が小さいけど(* ̄▽ ̄*)

倒壊したハウスの修理


 これでさすがに懲りてもう潰したくないのでそれからは、いろいろと対策を講じるようになりました。まずは、被覆材を雪の滑りの良い「ハクリョク」に変更しました。これは、古くなってもヒビ割れもしない優れものです。それでも大雪の時は、転ばぬ先に杖「つっかえ棒」をします。冬季もハウスを張りっ放しの農業者では良く使う方法ですがかなり有効です。


この材木1本でずいぶん強化出来ますo(^o^)o

ハウス倒壊防止のつっかえ棒


 しかしもっと大雪になると滑り落ちた雪が、横から押してパイプを曲げて壊します。そうなると人海作戦で除雪しかありません。特に林さんちは、ハウスとの間隔が狭いので厳しいです。積雪地帯のハウスは、広く取って除雪車が使えるようにしたり融雪装置がハウス間に設置されています。豪雪地帯だと被覆材を外してあっても凍った雪がハウスパイプを掴んだまま下へ下がって曲げてしまうそうです、、(×_×) だからパイプハウスと言えども除雪するそうですが林さんちは、そこまでは、積もらないので助かっています。


それでも横からの力には負けるので除雪します。

大雪の場合


 それでも最近の天候は、激しいのでどうにもならないと判断した場合は、昔やったみたいに被覆材を切ってしまいます。ハウスパイプを曲げてしまうよりマシです。下にある資材は、間に合えば外に出しますが重いモノは、出せません。 


緊急に被覆材を切って倒壊を防ぎました、、でも下の資材や肥料は雪まみれです(ToT)

ハウス倒壊を防ぐ最終手段


 ハウス番外編です。


ハウスは、農業用だけではなく倉庫や車庫と言った用途にも使われます。林さんちでは、息子の学童野球クラブ時代に室内練習用に会社横の駐車場にハウスを建てました。さすがにコンクリート基礎は、出来ませんでしたがパイプも直径アップで防錆性能も格段に上がった製品を使用して丈夫に建てました。被覆材もポリフィルムの厚さが通常の0.1mより厚い0.15mmを使用していますが最大の特徴は、下に魚網!をもらって来て張ったことです。これなら野球のボールが当たっても絶対に破れません。そしてこのスペースは、林さんちのイベントや研修にも使われています。こういう屋外で使えるフリースペースとしてもハウスは、とっても便利ですね。


このハウスは学童野球クラブの室内練習用に建設、、基礎はネジネジ方式ですが丈夫に作りました。

ハウス


2002年10月完成、、今でも大活躍中です。

富陽ドーム


林さんちの研修会場としも重宝しています(o^-^o)

青年塾金沢講座
 ハウスをこれから建てる農業者、これかた張ろうという農業者の一助になれば幸いです。でも農業は、ガラパゴス化が激しいのできっと林さんちより有効な方法があると思います。農業者の皆さんの情報交換のキッカケにもなればと思います(o^-^o)

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